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勅使河原 誠; 原田 正英; 渡辺 昇; 甲斐 哲也; 坂田 英明*; 池田 裕二郎; 大井 元貴*
JAERI-Conf 2001-002, p.835 - 847, 2001/03
核破砕反応による中性子は陽子を起因とする。そのため、陽子エネルギーの選択は性能の高い中性子源の開発において重要である。本研究では、最適な中性子源にとって最適な陽子エネルギーを見いだすため現実に近い体系(ターゲット・モデレータ・反射体)をモデルにし、そのモデレータから得られる中性子特性(中性子強度)をニュートロニクス計算によって評価した。ニュートロニクス検討の結果、最も性能の高い中性子源を得るための陽子エネルギーは1-2GeVであり、それ以上のエネルギーの増加は中性子強度が減少するため性能は下がることが得られた。中性子強度の陽子エネルギー依存性が、最適化された裸の体系から得られる全中性子収率と傾向が同じであることや、モデレータの種類(結合型や非結合型)に関わらず変化しないことも新しい知見として得られた。
高田 弘; 春日井 好己; 中島 宏; 池田 裕二郎; 猪野 隆*; 川合 將義*; Jerde, E.*; Glasgow, D.*
JAERI-Data/Code 2000-008, p.84 - 0, 2000/02
ASTE共同実験の一環として、ブルックヘブン国立研究所のAGS加速器施設において、厚い水銀ターゲットに1.6,12及び24GeV陽子を入射する核破砕実験を行った。実験では、しきい値で0.3~70.5MeVにわたるIn(n,n')In,Nb(n,2n)Nb,Bi(n,xn)などの反応を放射化検出器として用いて、ターゲット側面における反応率分布を測定した。In(n,n')In反応率分布から、1.6GeV陽子入射の場合に核破砕中性子強度分布は水銀ターゲットの半球状入射面の頂点から11cmの位置でピークとなり、ピーク位置は入射エネルギーの増加とともにターゲット底面方向に移る特性があることがわかった。同様な結果はほかの放射化検出器の反応率分布においても観測された。本レポートでは、実験方法及びすべての実験結果を数値データとしてまとめた。
高田 弘; 春日井 好己; 中島 宏; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 渡辺 昇*; 新井 正敏*; 鬼柳 善明*; ASTE-Collaboration
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), p.468 - 477, 1998/00
核破砕水銀ターゲットの開発の一環として、AGS加速器施設に、半球形状の端部を有する内径20cm、長さ130cm、厚さ2.5mmのステンレス容器に水銀を充填したターゲットを設置し、これに1.5,7.0及び24.0GeV陽子を入射する核破砕実験を行った。ニュートロニクス実験として、In,Al,Bi等の放射化検出器を用いてターゲット側面における反応率分布を測定した。しきい値0.4MeVのIn(n,n')In反応率データをもとに核破砕中性子強度分布を評価した。得られた分布は、1.5GeV陽子入射の場合、ピーク位置11.5cm、半値幅29cmであり、24.0GeVの場合にはピーク位置19.6cm、半値幅44cmとなり、入射エネルギーが増加するにつれてピーク位置が深くなるとともに広がる特性を有することがわかった。1.5GeV陽子入射についての計算コードを用いた解析では、入射位置近傍を除いて、計算は実験値をおおむね再現することがわかった。
中島 豊; 大久保 牧夫; 古田 悠*; 水本 元治; 杉本 昌義; 河原崎 雄紀
Annals of Nuclear Energy, 17(2), p.95 - 99, 1990/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.6(Nuclear Science & Technology)原研リニアックの190m測定室で92.20%に濃縮したSnの酸化物試料の中性子透過率を中性子飛行時間法により測定した。ブライト・ウイグナー多準位公式に基づいた形状解析コードにより1.5から30keVまでの21本の共鳴準位のエネルギーと中性子幅を決定した。S波中性子に対して、平均準位間隔D=1.17keV、S波強度関数S=0.30、ポテンシャル散乱半径R=5.600.05fmが得られた。このSnのS波中性子強度関数はDoor way state modelによる理解的推定値よりかなり大きい。
中島 豊; 坪根 泉*; 水本 元治; 古田 悠*; 大久保 收二; 杉本 昌義; 河原崎 雄紀
Annals of Nuclear Energy, 16(11), p.589 - 597, 1989/00
被引用回数:8 パーセンタイル:67.28(Nuclear Science & Technology)GdとGdの中性子捕獲断面積を原研リニアックを用いて1.1から235keVまで測定した。測定結果を他の測定値およびJENDL-2と比較した。測定した中性子捕獲断面積を最小自乗法により解析し、次の平均共鳴パラメータを得た。Gdに対しては、S波中性強度関数=(3.000.28)10、P波中性子強度関数=(3.71.1)10、S波放射捕獲幅=11929eV、P波放射捕獲幅=14060eVであり、Gdに対しては、S波中性子強度関数=(2.230.57)10、P波中性子強度関数=(2.20.7)10、S波放射捕獲幅=11528eV、P波放射捕獲幅=12925eVである。
水本 元治; 浅見 明; 中島 豊; 河原崎 雄紀; 更田 豊治郎; 竹腰 秀邦
Journal of Nuclear Science and Technology, 16(10), p.711 - 719, 1979/10
被引用回数:11EuおよびEuの中性子による平均捕獲断面積の測定3keVから100keV迄のエネルギー範囲にわたって行なわれた。Euは高速炉中における重要な核分裂生成物の一つであり、又その制御棒としての使用の可能性も示唆されているが既存のデータ間の一致はよくない。本実験は原研リニアックにおいて飛行時間法を用いて行なわれた。捕獲線は大型液体シンチレーション検出器を用いて測定され、中性子束の測定にはLi-ガラス検出器が用いられた。得られた平均断面積は既存のデータと比較されさらに中性子平均強度関数の値が求められた。
原田 正英; 及川 健一; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 高田 弘
no journal, ,
J-PARCの核破砕中性子源の中性子パルス性能を確認するために、中性子強度と中性子パルス形状を測定した。しかし、He-3検出器システムと金箔放射化法とで測定される中性子強度に相違があった(約20%)。そこで、次の3つの改善を行った。(1)長波長中性子を用いて、He-3中性子検出器の検出効率を測定した。(2)ランダムパルス発生装置を用いて、不感時間補正を行った。(3)同じコリメータ設定条件を用いた。JSNSの実験装置「NOBORU」(BL10)で再測定を行った結果、He-3検出器システムと金箔放射化法とで測定される中性子強度に良い一致を得ることができた(10%以下)。これに加えて、陽子ビーム強度、位置、プロファイル依存性も測定した。その結果を、粒子輸送計算コードPHITSで計算によって分析し、中性子強度が陽子ビームの強度、位置、プロファイルに依存することがわかった。
原田 正英; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 明午 伸一郎; 大井 元貴; 高田 弘
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源は、水銀ターゲットに3GeV、1MW陽子ビームを入射し、核破砕反応で発生する中性子を反射体・減速材で減速し、発生する中性子を中性子実験装置に供給する施設である。本研究では、入射する陽子ビームの形状やビーム入射位置が、水銀ターゲット容器の構造強度や発生する中性子特性に及ぼす影響を定量的に調べることを目的とし、水銀ターゲット容器の核発熱及び中性子強度の変化を測定した。ビーム形状をガウス分布とし、垂直方向に上下各々4mmの範囲で入射位置を変えた場合、中性子実験装置NOBORUで計測される中性子強度をHe-3カウンターで計測した。この結果、120meVの中性子強度の積分値は、中心に入射する場合に比べ、4mm下方に入射した場合は、約2.5%低下し、4mm上方に入射した場合は、約2%増加することがわかった。MCNPXコードとPHITSコードによる粒子輸送計算を行い、測定結果を比較した結果、両者はよく一致した。
原田 正英; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 明午 伸一郎; 大井 元貴; 高田 弘
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源は、水銀ターゲットに3GeV、1MWの陽子ビームを入射し、核破砕反応で発生する中性子を実験装置に供給している。ターゲット位置での陽子ビーム形状や位置変化は、水銀ターゲット容器の構造的健全性や実験装置に供給する中性子強度に影響を与える。本研究では、ニュートロニクスの観点から、陽子ビームの形状や位置を変化させた際の水銀ターゲット容器の核発熱及び中性子強度の変化を測定し、測定結果と粒子輸送計算との比較を行い、粒子輸送計算の妥当性を検証した。中性子強度の測定は、中性子実験装置NOBORUにて、He-3カウンタによる飛行時間法により行った。核発熱は、ターゲット容器に設置している熱電対の温度上昇速度から導出した。陽子ビームの強度及びプロファイルの条件毎に、中性子強度及び核発熱密度を測定した。粒子輸送計算コード(MCNPX, PHITS)を用い、測定値と実験値とを比較した結果、計算値は実験値と良い一致を示した。
原田 正英; 勅使河原 誠; 大井 元貴; 及川 健一; 池田 裕二郎
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源は、水銀ターゲットに3GeV、1MW陽子ビームを照射し、発生する中性子を中性子実験装置に供給する施設である。中性子実験装置には、冷熱中性子の他に、熱外中性子やMeV領域の高速中性子も飛来する。ここで、MeV領域の高速中性子は、高速中性子照射実験に活用される一方、中性子実験装置の遮蔽設計に大きな影響を与える。これまでの中性子実験装置の遮蔽設計では、計算による高速中性子線源データを用いてきたため、この線源データの検証を行う必要がある。そして、高速中性子の場として、中性子強度や分布を明確にする必要がある。そこで、中性子実験装置NOBORU(BL10)にて、しきい反応を利用した箔放射化法を用い、Au, Al, Bi, In, Nbの箔を用い、中性子源から13.4m位置に設置した。熱中性子を遮るフィルターを設置した場合やアルミ箔を用いた高速中性子の分布について測定した。PHITSとの比較を行い、全般的に良い一致を得た。
原田 正英; 及川 健一; 土川 雄介; 山口 雄司; 羽賀 勝洋
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源は、水銀ターゲットに3GeV、1MWの陽子ビームを入射し、核破砕反応で発生する中性子を実験装置に供給する設備である。水銀ターゲット容器は、ピッティング損傷のために定期的に交換している。陽子ビーム出力は、低出力から徐々に出力を上げ、2022年6月現在では、800kW運転を行っており、陽子ビームプロファイルは、ビーム出力により、適宜最適なものを使用している。これらを踏まえ、特性試験装置(NOBORU)にて、核破砕中性子源から供給される中性子の強度を同じ測定条件で定期的に観測する定点観測を実施してきた。定点観測では、熱中性子の絶対強度を観測するために、金箔による放射化法を用いた。金箔は、主に、15150.1mmを使用し、カドミウム箔の有り無しの2回測定した。陽子ビーム強度に合わせて、照射時間を10分から30分程度に設定した。照射した金箔は、ゲルマニウム検出器で、ガンマ線を測定し、放射化量を同定した。測定の結果、熱中性子強度には、陽子ビーム強度依存性が若干観測された。
松村 太伊知; 坂本 雅洋; 寺島 顕一; Riyana, E. S.; 奥村 啓介
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これまでの原子炉格納容器(PCV)内部調査から、福島第一原子力発電所(1F)の1-3号機には、燃料と被覆管等が溶融した後に固化した燃料デブリが存在すると考えられている。2023年には、2号機(1F2)から数g程度の燃料デブリ試料の試験的取り出しが予定されている。燃料デブリの検知において中性子が検出されれば燃料デブリであると推定できるため、燃料デブリから放出される中性子の特性評価を行うことは重要である。そこで、UO燃料のみで構成されていた1F2と本格取出し時期での対象とされMOX燃料を部分的に含んでいた3号機(1F3)からの取出し燃料デブリに対する検出器開発や中性子応答の物理的解釈に資するため、1F2(広範囲燃焼度UO)、1F3(低燃焼度MOX)、TMI-2(低燃焼度UO)の3種類の代表的な燃料デブリモデルに対し、それぞれの燃焼履歴に基づく核種インベントリデータとSOURCES 4Cコードを用いて、燃料デブリから放出される自発核分裂(遅発中性子を含む)と(, n)反応によって放出される中性子の特性評価を行った。
原田 正英; 山口 雄司; 河村 聖子; 古府 麻衣子; 楡井 真実; 羽賀 勝洋; 奥 隆之; 松浦 直人*; 日下 勝弘*; 杉山 晴紀*
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)では、水銀ターゲットに3GeVの陽子ビームを入射し、核破砕反応で発生する中性子を実験装置に供給しており、2023年6月現在、陽子ビーム出力800kW運転を行っている。中性子実験装置に共有される中性子の強度は、実験装置の性能を決める重要な要素である。これまで、中性子強度測定では、He-3カウンターや金箔放射化法での測定を行ってきた。その中で、空間分布と絶対値との両方を精度よく測定することが課題であった。この問題を解決するために、熱中性子に対して、大面積金箔放射化法を提案した。本発表では、大面積金箔放射化法の手法説明を行うともに、BL02、BL03、BL14での中性子強度及び分布測定に適用した事例を報告する。